トップ «前の日記(2008-06-12) 最新 次の日記(2008-06-14)» 編集

I'll be here−社労士 李怜香(いー・よんひゃん)の多事多端な日常


1909|09|
1999|09|10|11|12|
2000|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2001|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2002|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|12|
2003|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2004|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2005|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2008|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2010|01|02|03|04|05|06|07|08|




ひらがなルビ(るび) ルビなし <協力:アダプティブテクノロジー>


2008-06-13 [長年日記]

[ はてなブックマークに追加 ][ del.icio.usに追加 ][ MM/Memoに追加 ]
[この日を編集]

_ [労働][韓国]非正規労働先進国の現状

韓国では、全就業者にしめる、契約社員やパート・臨時雇などの非正規労働者の数が、すでに 50% を超えているそうだ。日本では 30% 台。この数字を見ただけで、格差社会、ワーキングプアという問題で、韓国の状況を注視する必要があると感じられる。

政府も手をこまねいたいたわけではなく、2007年7月から「非正規労働者保護関連法」が施行された。その主な内容は、下記の通り。

  1. 非正規労働者に対する合理的理由のない差別処遇の原則禁止
  2. 2007年7月1日を起算日に雇用期間が2年を超える非正規労働者の正規労働者化
  3. 2年以上使用した派遣労働者を直接雇用への切替えの義務付け等

「禁止」「義務」と強い内容だ。日本のパート労働法より、ずっと進んでいる、すばらしい! というわけでは全くなく、韓国の労働側や野党はこの法案に反対だった。

要するに「雇い止め」を防止する規定がなにもないのだ。

1年11ヶ月で非正規労働者を解雇し、使い捨てて、別な非正規労働者をまた雇い入れる。さらに、労働の外注化・下請化が懸念されていた。

この法律は、企業規模に応じて段階的に施行されたが、300人以上の企業と公共機関が対象となった法施行直後に、すでにこの懸念が現実のものとなっている。

韓国最大のファッショングループ企業イーランドで、パート労働者 340名の大量解雇が行われたのだ。この法律の対象となる2年以上雇用していたパート労働者を正社員に転換するのを回避するため、会社が派遣社員になるか、さもなくば解雇か、と、パート社員たちにつきつけたのである。

当然、大規模な争議が起こり、機動隊が導入され、社会問題となった。

さらに、2008年7月から100人以上300人未満の企業もこの法律の対象となり、来年7月には、5人以上の企業がすべて対象となる予定である。

その結果、どうなったか。

就業者の内訳を本年第1四半期でみると、賃金労働者のうち正社員の多くを占める常勤労働者は前年比43.5万人増(0.5%増)であるのに対し、非正規労働者である臨時雇(契約1カ月〜1年未満)及び日雇(同1カ月未満)はそれぞれ前年比9.9万人減(1.9%減)、2.5万人減(1.2%減)となっている。臨時雇及び日雇の減少割合は、特に100〜299人規模企業において著しく、300人以上企業では0.1%増、100人未満企業は1.1%減である一方で、100〜299人未満企業は15.4%減と大幅な落ち込みとなっている。

中小企業で雇用減少の懸念 −非正規労働者保護法の対象拡大が影響か−(最近の海外労働情報 韓国)

めちゃくちゃわかりやすい数字だ。

イ・ミョンバク大統領の、選挙の時のキャッチフレーズは「実践する経済大統領」だったんだけどね。

この法律自体は、ノ・ムヒョン政権時代のものだが、予想通りの結果になってしまった今、批判は現政府に向けられる。もっとも、今は大規模なろうそくデモの対応に追われてそれどころじゃないだろうけど。

この問題は、現在のデモとは直接には関係ないけど、単に狂牛病の恐怖に対して国民がヒステリックな反応をしてるわけではなく、背景にはこのような労働事情があることは、もっと知られていいと思う。

blogranking←読んでいただいてありがとうございます。きょうも一押し、応援クリックをよろしくお願いします。にほんブログ村 士業ブログ 社会保険労務士(社労士)へ←こちらにもぽちっと1票をよろしく。

_ [雇用保険]月45時間以上の残業が3ヶ月続くと失業給付が有利に

長時間労働で苦しんでいる人たちを見て、勝手にイライラしていてもしょうがないので、社労士らしい情報をひとつ。

そんなひどい労働条件の会社はさっさとやめて、別のところを探しなよ、と、言っても、毎日夜中まで残業では、在職中に就職活動など、まったく無理な話である。

「もうやめます!」とキレて、後先考えずにやめちゃうと、失業給付が出るのは3ヶ月以上先だし、10年以上働いてないと、給付日数は90日ぽっきり。しかも、今の会社で1年以上働いてないと、失業給付自体が出ない。簡単に、失業給付をあてにして、やめるわけにはいかない。そう思ってガマンしている人もいるのではないかと思う。

だが、ちょっと待ってほしい。

待機期間が3ヶ月とか、給付日数が90日ぽっきりとか、12ヶ月以上働いてないとダメとか、これはすべて「正当な理由のない自己都合」で辞めた場合である。

雇用保険の受給資格には「特定受給資格者」というカテゴリーがあり、一般には倒産・解雇など、会社都合で離職した人がこれにあたるのだが、実は自分でも自己都合だと思いこんでいる人たちの中にも、この「特定受給資格者」に当たる人が、けっこういるはずなのである。

実際の規定は、お役所言葉で長いので、はしょって紹介するが、きちんと確認したい人は、厚労省のサイトで特定受給資格者の範囲を熟読しよう。

  1. 解雇された (重責解雇以外)。
  2. 労働条件が、最初に言われた話とぜんぜん違った
  3. 給料の3分の1を超える額が、2ヶ月以上遅配、または支給されない。
  4. 給料が突然いままでの 85% 以下に下げられた。
  5. 辞める直前3ヶ月の残業が毎月45時間以上。または、安全衛生法関連で監督署などから指摘があったのに、会社がなにもしない。
  6. 職種変更があったのに、なんの配慮もなく放置された。
  7. 有期契約で3年以上続けて働いていたが、契約更新されなかった。
  8. 1年未満の期間で雇われていて、契約更新ありだよ、とはっきり言われていたのに、実際は更新されなかった。
  9. パワハラ、セクハラがあったことを会社が知っていたのに放置された。
  10. 事業主に「やめたほうがいいよ」と言われた。遠回しに言われたのでもよい。
  11. 会社都合の休業が3ヶ月以上になった。
  12. 会社の業務が法律違反。

さて、どうだろうか。心当たりのある人がいるのでは?

逆に、経営者や労務担当者で、このリストに心当たりがれば、早急に対策を講じた方がよい。安定所で辞めた社員が「特定受給資格者」に認定されたからといって、すぐに監督署に情報が流れるわけではないが、こんな労務管理じゃ社員がやめても当たり前だよ、と役所に例示されているようなものだ。

黙って辞めていく社員ばかりならよいが、監督署に駆け込まれたときのリスクが大きすぎる。サービス残業を2年遡って支払って20億、しかもでかでかと報道されたりしたら、たいへんである。

「特定受給資格者」として認められると、給付資格を得るための勤続期間は6ヶ月でよいし、待機期間は7日のみなので3ヶ月待たなくてよいし、給付日数も年齢や勤続年数に応じてぐっと有利になる。

もちろん、これがあるからすぐやめろ、とあおっているわけではなく、会社と労働条件に対して交渉するにしても、こういう後ろ盾があるとより心強いというものである。まさにセーフティネット。

具体的に、どうやって「特定受給資格者」になるかというと、離職票を発行する前に、辞めた理由を会社が離職票に書いて、そこにサインを求められるはずだ。そのときに「自己都合」とか「転職希望」と書いてあったら、「異議有り」のほうにマルをつけておく。

あとは、実際にその離職票を持って職安に行ったときに、ほんとはどういう理由なのか、聞かれると思うので、しっかりと説明する。

ただし、自分ではこの条件にあてはまると思っても、認定するのは職安である。もし、この制度を利用して退職する心づもりになったら、客観的な証拠を固めておいたほうがよいだろう。

補足記事あり。

雇用保険の資格取得についての関連記事あり。

blogranking←読んでいただいてありがとうございます。きょうも一押し、応援クリックをよろしくお願いします。にほんブログ村 士業ブログ 社会保険労務士(社労士)へ←こちらにもぽちっと1票をよろしく。

本日のツッコミ (9件) [ ツッコミを入れる ]
_ YOSIZO (2008-06-13 22:19)

 7. 有期契約で3年以上続けて働いていたが、契約更新されなかった。
 8. 1年未満の期間で雇われていて、契約更新ありだよ、とはっきり言われていたのに、実際は更新されなかった。


特定受給資格者ですが、自分の場合は、1年間の有期契約満了に伴う退職でしたが、特に何か聞かれる事もなく、7日間の待機期間をすぎたらすぐに失業給付を受けられましたよ。
渋谷社会保険事務所ですが、場所によるんでしょうかね。
あらかじめ電話なりで確認を取るほうが安心でしょうけど。

_ けい (2008-06-14 00:08)

いやあ、とっても参考になりました。一度よんひゃんさんに会って相談したい気分です。

雇用保険、入社するときに会社側から入ると言っていたのに、未だ
手続きしてくれてないんですよね。再三再四、要求してるのに。
もう二年が過ぎたんですが。

特定受給資格者の件は、2、4、5が該当するかもしれません。

_ SAKURA (2008-06-14 01:08)

(上のほうの記事に対するコメント)
中途半端な法律だと逆に抜け穴使われて弱い者がさらに打撃を受けるということでしょうね。ただ日本で労働者保護系の法案が出るたび「そんな法律を作ったら失業者が増える」と儲けを山ほど出している大企業の人たちが率先して言うのは、いやらしい感じがしますが。韓国のこれの場合、企業団体は反対しなかったんだろうか。
一時的な業務以外で有期雇用を使うの禁止とか業務があるのに雇いやめするの禁止とかのルール作ってほしいけど、そうなるとたぶん今そういった業務で働いている有期雇用の人がいっせいにクビになったりしちゃうんだろうなあ…

_ 李怜香 (2008-06-14 10:48)

YOSIZO さん
ツッコミありがとうございます^^
渋谷職安で経験された例は、たぶん「一般受給資格者」で「給付制限無し」に分類されたのだと思います。給付日数は90日じゃなかったですか? これについては、後で補足書きますね。
社労士は法律の規定と、会社に雇用されている人の具体的な手続きはわかってますが、退職された後の具体的な事例っていうのは知らないので、こういう情報はとてもありがたいでし、読んでる方の助けになると思います。これからも、どうぞよろしく。

_ 李怜香 (2008-06-14 10:54)

えー! けいさん、それは個人的に連絡しますよ。
早く相談してよ、わたしとけいさんの仲じゃない。って、どんな仲だか(笑)

_ 李怜香 (2008-06-14 10:59)

SAKURA さん
この法律は政府主導でできたもので、財界から反対があったっていうのは、わたしが読んだ記事では見あたりませんでした。
ただ、事業主にアンケートをとったら、正社員への転換に否定的な答が 90% というのをどこかで見たような気がするので、こういう結果は見えてたと思うんですけどねぇ。
法律を作る側が真剣に抜け道をふさぐことを考えれば、但し書きをつけたり通達を出したりして、けっこう上手にできると思うんですけどね。問題は、それに実効性を持たせるべく、監督署の人員をどれだけ増強するかだと思いますよ。交通取り締まりみたいに、しょっちゅうどこかで監督官と遭遇する、ってレベルだと、労働問題もかなり違ってくるでしょうけどね。わざわざ予算かけて経済活動を萎縮させる、とかいって、財界からすごい批判出そうですが。

_ ケイジ (2008-06-20 12:15)

とっても勉強になりました。

ところで、これって公務員にも適用されるんでしょうか?
特にサービス残業が多すぎて。。

_ 李怜香 (2008-06-20 12:32)

ケイジさん
これは雇用保険制度の話ですので、ご自分が雇用保険に加入しているかどうか、給与明細で確認してみてください。
臨時職ならば公務員でも雇用保険に加入していることもありますが、正規職だと、たいてい雇用保険の対象にはなってませんね。

_ viagra (2010-02-26 04:56)

eDOQnb この間も俊太郎の詩をお, http://www.stlouisbusinesslist.com/business/5021837.htm?info=viagra viagra, 239895,

本日のTrackBacks(全1件) [TrackBack URL: http://www.yhlee.org/diary/tb.rb/20080613]

【お前らキーボードの『る』を見てみろ!!!】 ギャース!! 見えた!!! 【ス...


ナビタイム地図検索