ひらがな
2006-03-14 [長年日記]
_ [社会][在日・韓朝鮮]だからあいつらはダメなんだ
たしか去年だったと思うが、下の子が通う小学校から配られたプリントにこんな一節があった。「朝食を食べる子と朝食抜きの子では、食べる子のほうが成績がいいという統計があります。子供には毎朝必ず朝食を食べさせましょう」
統計のトリックに少し興味のある人なら、あー、またやってるよ、と思うに違いない論理展開である。おそらく、書いた人はこの文章の中にトリックが含まれているとは、まったく気づいてないと思うが。
まず、「朝食を食べる子と朝食抜きの子では、食べる子の法が成績がいい」という文章は、朝食を食べるかどうかと、成績の間に「相関関係」があるということしか言っていない。「朝食を食べるから、成績がよくなる」という「因果関係」ではないのである。
もっと具体的に考えてみよう。朝食抜きというのは、夜更かしの習慣が考えられるから、ほんとうに成績との因果関係があるのは、睡眠時間の長短なのかもしれない。子が欠食してもとくに問題ないと考える親は、全体に子供の勉強の内容や勉強時間への関心も薄いであろうから、朝食抜きの子は、そうでない子に比べて、親のサポートが少ないのかもしれない。睡眠時間、学習時間、塾に通っているか、など、他の要素も検討したあとでなければ、朝食を食べるかどうかと、成績に「因果関係」があるとはいえないのである。また、こういう統計的に処理できるもの以外にも、朝食を食べるか食べないかが、体、とくに脳に与える影響に関する研究など、他の分野の研究結果を援用することも必要だろう。
この手の、一見科学的なトンデモ言説というのは、世に満ちているが、すぐにヘンだと指摘できるような幼稚な内容でも、頭から信じこんでしまう人が多い。人間は、どうしても「相関関係」から「因果関係」を見てしまうものなのかもしれない。
自分のブログで「メディアリテラシー」という言葉を使ったことがある人なら、最低、次の2冊は読んでおいてほしいものである。わたしのような数字に弱い人間でも、十分に理解できる内容だ。自分がだまされるのを防げるし、トンデモ言説をさらに広めるような罪深いことをせずにすむ。
統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門 (ブルーバックス 120)(ダレル・ハフ)[Review]
「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)(谷岡 一郎)[Review]
さて、ここでやっと本題に入るのだが、在日を攻撃する際に、よく出てくるのは「在日韓朝鮮人は、日本人に比べて犯罪率が高い」という統計である。今回、gori さんが検討した内容も、その話に基づいている。永住者と超過滞在者を足して「在日」とするなど、意味不明な操作を行っているので、数字の上の妥当性もかなり疑問の余地があるが、それはおいておいて、「在日韓朝鮮人の犯罪率は日本人に比べて高い」という説が、統計から読み取れる、ということにしよう。前半で述べたように、この説はあくまでも「相関関係」を述べているものにすぎない。収入、学歴、居住地域など、ほかの要因を検討しないと、「在日であることが原因で、犯罪率が高い」という因果関係は導き出せない。だが、gori さんは「在日外国人数の6割近くを占める在日韓国人のお陰で、他国籍の在日外国人の名誉が貶められるのは可哀想だ。」と述べ、高い犯罪率は在日の不名誉、つまり、在日の側に責任があるとしている。
在日のなかの「素行善良」な層が、毎年1万人規模で帰化しているのであるから、残った集団がどのような傾向が強まるか、ということを考えただけでも、母集団の同質性に大きな疑問が起こるのだが、そんなことはおかまいなしである。
また「外国人」という言葉を見ると、まるで外から日本に持ち込まれた不良分子のような印象を与えるが、ふつう「在日」といわれる人々、つまり、特別永住者プラス日本に数十年にわたって居住している永住者、いわゆるオールドカマーでは、一世はとうに70代、80代と高齢化していて、犯罪者という統計の中に多数あらわれることは考えられない。つまり、ここで「犯罪率が高い」といわれている人は、ほとんど日本生まれの日本育ち、その大多数が韓国語も話せず、逆にふつうの日本人とかわらない日本語能力と、日本社会への適応力を持った人々なのである。
もし、在日である、ということと、犯罪率が高い、ということの間に、なんらかの因果関係が読み取れるとしたら、外国出身者が、日本で外国籍のまま、三代四代と代を重ねると、高い犯罪率を示す、ということになる。その「不名誉」の責を負うのは、在日の側なのだろうか、それとも日本社会の側なのだろうか。
これは日本社会に限らず、どこの社会でも見られることだが、差別される集団は、差別されない集団に比べて、当然、経済的に不利な状況におかれ、十分な教育も受けられないことになる。差別される、ということは、未来への希望を奪われるということだ。これは、十分に人を犯罪などのダークサイドに引き寄せる要因になるだろう。そして、差別状況が改善されないまま代を重ねると、貧困、無知、犯罪、薬物中毒などが、差別されない集団に比べて高い割合で表れるのは、明らかである。そうなると、憎悪や偏見をさらにあおるのは簡単だ。差別された結果を差別の原因に逆転させ、「だからあいつらはダメなんだ」といえばよいのである。
(2007/03/04追記)この件に関しての明快な解説がこちら。目からうろこです。数字のマジックは、なかなか手強いものですな。
だからあいつらはダメなんだを読んで、因果関係について調べてみることにしました。 因果関係が成立するためには3つの要件が必要です。 時間的に先に原因があり、後に結果があること 原因と結果に相関関係があること 第三因子が存在しないこと 結果が起きたすべて..
在日についてたたきまくる人たちがいる、 彼らは長期的に物事を見ていないのかもしれない 統計を見てみればわかるが在日は毎年1万人ずつ減ってきている、 また自然減が2000人以上に達している、 出生が2000人ほどであり、このうちの何割かは日本国籍を所得するこ..




中国人に対しても、最近の園児殺害やインシュリン事件から「中国人は殺人集団」みたいな短絡的な書き込みが多くて、いやになる。どこの国であろうが犯罪を犯す人とそうでない人との間に有意な差は無いと思う(貧困など社会的背景を考慮する場合はあるかも)。
行き着くところは「その人」であって、xx人という母集団にはあまり意味は無いのではないかな。もちろん、その人の背景を理解する上で、出身国が重要になるケースはある。
結局、xx人はxxだ!と叫ぶ人は「腐海を焼き払え!」と言うだけで、その中の自浄作用に気がつかない人なんだと思う。
NOBさん、コメントありがとう。壊れたコンサ レポじゃなくて、ごめんね(笑)
最近の、中国から結婚で日本に来た人の犯罪については、もちろんやったことはきちんと裁かれなければいけないけど、彼女たちの孤独を考えると、胸が痛みます。在日韓国人は、だいたい家族単位で日本に来ているけど、彼女らは、家族もすべて日本人ですからねぇ。犯罪抑止をいうのなら、そういう不安定になりやすい人たちをいかにささえていくか、ということを考えなくてはならないんだけどね。排除するのでは、まったく反対の方向に行くばかりでしょう。だけど、外国人排斥を叫ぶ人たちは、ほんとは犯罪抑止とか、日本の国益なんぞ考えちゃいないでしょうけどね。民族間の対立をあおったら、逆に治安が悪くなるばかりだってわからないんだから。